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自分の可能性を信じれば、未来は変えられる
―現状に満足せず、進化しつづけよう―

株式会社門崎 千葉祐士

「状態を変革し、新しい価値を生み出したい」――そう語る株式会社門崎(かんざき)代表取締役 千葉祐士さんは、岩手県一関市に本社を構えて牛肉ブランド「門崎熟成肉」を展開。食を通じて東京と一関をつなぎ、地域創生や地域活性に尽力しています。「門崎熟成肉」へのこだわり、一関のファンをつくる取り組みなど、千葉さんの情熱あふれる活動をご覧ください!

千葉 祐士(ちば  ますお)
株式会社門崎 代表取締役

1971年岩手県一関市生まれ、1994年東北学院大学経済学部商学科卒業。1994年大倉工業株式会社勤務。1999年4月より外食事業を展開し、五代格之進を開業。2004年丑舎格之進 川崎本店、2006年格之進TOKYO(練馬区桜台)開業。2008年10月に株式会社門崎を設立し、2010年格之進R(六本木)開業。2013年ミートレストラン格之進(一関)、焼肉のろし(岩手県陸前高田)、2014年肉屋格之進F(六本木アークヒルズサウスタワー)開業。2015年11月格之進Rt(代々木八幡)をオープン。現在は「門崎熟成肉」の牛肉販売、卸・食品加工、都内4店舗、岩手3店舗の運営、飲食店運営サポート事業、牛肉の啓蒙活動を行う。

飲食業界に入ったきっかけは、“おいしい牛づくり”を守るため

株式会社門崎 代表取締役 千葉祐士氏

―まずは、千葉さんの仕事内容について教えてください。

  「格之進(かくのしん)」という飲食店グループの経営です。私は飲食店というものをショールームのように考えており、地元・地方の生産者と消費者が交流していただける場、生産物をブランディングできる場であると考えています。

  また、岩手の食材を使ったハンバーグやメンチカツを製造する食品メーカーとしての事業を運営しながら、お肉を中心に正しい情報を伝えていく「食」の啓蒙活動を通じて、BtoBやBtoCを実現させています。

―現在、7店舗の飲食店を経営されていますが、もともと飲食業界に携わろうと思ったきっかけは何だったのですか?

  本社が岩手県一関市にあるのですが、幼いころから一関は田舎で何もなくてつまらない場所だと思っていて、何でもそろっている東京にあこがれを持っていました。親戚が東京にいたこともあって、初めてボーリングをしたのも、焼肉を食べたのも、洋服に興味を持ったのも東京でした。「俺は東京でがんばるんだ!」と思っていたほどだったんです。

  地元の環境は、地元での経営展開のみしか考えることができない、東京で事業を起こすなど想像もできない世界でした。それもあって、自分自身がスーツを着て仕事をするサラリーマンになるということが身近には感じられない環境だったのです。

  なかでも特に、牛に関する仕事だけはするまいと思っていました。
  なぜかといえば、家業だった家畜商・生産者という仕事は土日もなく、家族旅行もまともにしたことはありません。小学校、中学校、高校と休みになれば牛舎の掃除や手伝いとなり、それでもお小遣いはなし(笑)。決して収益の高い事業だとは思えませんでしたし、魅力的な仕事には感じられませんでした。

―その意識が変わった経緯には、どのようなことがあったのですか?

  大学を卒業して、フィルムメーカーの大倉工業では営業をしていました。会社という組織に所属したからには、トップまで登りつめたい、社長になりたいという目標がありました。

  でも、実際に入った時、社長になれるのはどんなにがんばっても叶うのは最速で20年後の45歳だと悟ったんです。今思い返せば、1000人規模の会社で、社長になれると信じていたのもおもしろいですが(笑)。

  大倉工業では商社、一次店、二次店……といった取引が主流でしたが、私は、生産と消費の現場や人の顔が見えるダイレクトな販売をしていきたいと考えていたのです。そんなころ、お盆休みで実家に帰省する機会がありました。入社3年目、26歳の時です。

  そこで「あれ?うちには牛がいるぞ。つまりうちは原料メーカーだ!垂直統合経営ができる!そうだ、焼肉屋をやろう!」と瞬時に思ったんです。

  自分たちで作ったものを自分たちで値段をつけ、ブランディングしていくことが可能な環境をつくることができると気づいたのです。

  飲食業界の“商品の価値”は、原価や相場に関係なく、サービス、店の雰囲気、商品”でいくらでもコントロールができます。だからこそ、価格競争に巻き込まれたり、販売店や飲食店まかせの価格設定ではなく、品質にこだわりをもって商品を作っている生産者こそ自分たちで価値を決められる環境を整えなければいけないと思ったのです。

  当時は「六次産業」という言葉すらない時代ですが、私はすでにその認識を持って商売をしたいと考えていました。

  どのような世の中になろうとも、“おいしい牛づくり”“いいものづくり”を通じて、本質的なものづくりをしている人をサポートしていく。そうした我々の思いを、飲食業を通じて表現していきたいというのが、私の変わらない思いです。

  自分たちで作ったものを、自分たちで価値を高め、継続的な事業にする。そして日本の食文化を守っていきたいと考えました。

岩手県と東京で、プロモーションに力を入れる理由

格之進 千葉祐士社長

―現在の仕事のやりがいは何ですか?

  生産者が作り出す商品を、しっかりとプロモーションをしていくことですね。地方創生、地方活性につながる考え方として、店舗を“ハブ”“ショールーム”として捉えています。生産者と消費者をつなぐ場でもあります。その距離を縮めるのが自分の役割であり、産地を実際に見てもらったり、生産者と交流する機会を作っています。

  その例が「うまいもん!まるごと一関の日」というイベントで、東京の「格之進」の店舗を利用して定期的に開催しています。一関市市長、生産者、弊社のお客様が集まって、一関の食材を楽しみます。その効果として、イベントがきっかけで現地に足を運んでくれる方も増えています。

―これから先を見据えて、様々な取り組みをされているのですね。

  15年後には生産労働人口が激減するのは目に見えています。今以上に、安さ重視の輸入品を選ぶ人と、生産者が手間をかけて作った国内品の価値を理解し購入する人と、二極化していく世の中になります。だからこそ、今のうちから国内生産者を継続的に守ることのできる環境を形成しておくことが大事なんです。

  私たちの商品を届けたいターゲットとは、千客万来ではなく、“一客再来”の人たちです。格之進のファンになってくれたり、取り組みや方針に共感し、応援してくれる人たちを増やしていきたい。17年前から、私が変わらない想いとして行動していることです。

  嬉しいことに、私の周りの人たちも“買う商品はその生産者への応援、未来への投資”と言っています。「こういう米づくりをしている人たちを応援したいから、この商品を購入する」というように、消費のしかたによってお金の使い方や世の中がどのように変化していくかを考えて行動してくれるんです。
  弊社の考え方に賛同してくれる、一客再来のお客様と末永く付き合いたいですね。

―現在、飲食店7店舗を経営されていますが、店舗運営のポイントはありますか?

  岩手に出店した店舗「ミートレストラン 格之進」は当時、東京進出を実行に移すためにも、その前に地元で評価されなければ意味がないと思い、一関市のバイパス沿いに出しました。そこには同業態のハンバーグ屋が2軒あり、地元経営者仲間からなぜそこに出したんだと言われたんです。

  見た目はハンバーグ屋で同じですが“お金の循環の構造”が違います。いっぽうのお店のお肉はアメリカ産の原料を使い、もういっぽうのお店は本社が北海道。うちのミートレストランで食事をしてくれたら、その食事代は一関の地元にお金を循環させることとなり、つまり地域の活性化に投資したことになるのです。

丑舎 格之進 岩手県一関市川崎町に構える本店「丑舎 格之進」。広々と落ち着いた店内で「門崎熟成肉」を堪能できるのはもちろん、精肉直売も行っている。

  消費者の皆さんが一生懸命働いて得たお金がどのように循環されていくのかを考えたら、地元できちんと評価される仕事がしたいと思いました。日本の一次産業の未来に貢献できることをやっていきたい、と。このように“本質”を捉えて事業をしていきたいんです。

―御社の店舗は、単に食事を提供するだけではなく、生産者の想いや一関を発信する“プロモーションの場”なんですね。

  そうですね。仮に、今はその発想を持っていない消費者だったとしても、私たちがイベントや店舗運営において発信し続けることによって、その方に伝わり、私たちの想いや活動を支持してくださるファンになり得ます。

  商品そのものの本質に寄り添ったブランディング、生産者と消費者・「格之進」ファンになってくださったお客様をつなぐ役割を果たすためにも、発信力を強く持ち続けることに力を入れているのです。

“地域ブランド”の時代から、生産者が光る“牧場ブランド”へ

格之進グループ代表千葉祐士さん

―今までで一番大変だったことは何ですか?

  飲食店のノウハウがなかったことですね。27歳までフィルムメーカーの営業をやっていて、お肉の切り方や接客、経営の仕方もわからない状態で焼肉店を始めたんです。でも焼肉店を始めた17年前、自分としては、いずれ“地域ブランド”から“牧場ブランド”に価値が推移すると確信していました。

―確信の理由は何ですか?

  鳥や豚の状況を見ればわかります。昔は、現地に生産者がたくさんいて地産地消があたり前でした。地元消費のため、わざわざネーミングを考えて“ブランド豚”のように売る必要がなかったんです。

  ところが生産拠点が大規模化していくにつれて、ひとつのメーカーが養豚場30件以上の生産量をまかなえてしまった。地元以外の場所で大量に売るために、流通や販売の戦略としてブランド豚が生まれたんです。鳥は60日、豚は150~200日で出荷ができるので、取り組みが速かった。牛は種付から計算すると1200日かかるため大規模化はしにくいけれども、時間を追って必ず来ると思っていました。

―“牧場ブランド”に移ると予測したきっかけは何ですか?

  皆さんがご存じの松阪牛や米沢牛は“地域ブランド”です。いっぽう“牧場ブランド”とは、たとえば、尾崎牛の牧場主である尾崎さん(宮崎県宮崎市/株式会社牛肉商尾崎)など、生産者自身がブランド化することを意味します。

  “地域ブランド“に満足せず、生産者が世の中の人から求められ、選ばれるような力をつけてくべきだと。減少する一次産業の生産者を守るためにも、それくらいしないと生産が持続可能な状態にならないんです。生産者がコンセプトをしっかり持って、ブランド化することが必要です。

門崎熟成肉について語る千葉祐士社長

―千葉さんが力を注いでいるブランド肉「門崎熟成肉」ができるまでの経緯を教えてください。

  17年前に黒毛和牛とひとくくりになっていた弊社の商品を、「いわて門崎丑(かんざきうし)」という牧場ブランドとして売り出しました。2002年にはタレや塩、わさびをつけなくても十分おいしい、肉本来のおいしさを追求するために熟成の研究を始め、試行錯誤のすえ、現在の「門崎熟成肉」が完成しました。

  行きついた答えは“肉の表情”を伝えること。切り方、保存のしかた、熟成方法によって同じ肉でも、おいしさや香り、色、質感など肉が持つ表情が異なります。その良さを表現する方法として、現在では「門崎熟成肉」というブランド肉にして、弊社のオリジナルの熟成過程を経た肉であれば、そう呼べるようにしました。

  熟成工程に見合う牛は、ある一定の基準に満たないといけません。おいしさを追究して手間をかけて育てる“おいしい牛づくり”と、意図的に脂肪を蓄えさせて早期出荷をする“儲かる牛づくり”があって、うちは“おいしい牛づくり”を徹底しています。

  「門崎熟成肉」になり得る牛を私が選ぶことによって、“おいしい牛づくり”をしている生産者を私が応援していることにもなるんです。

―周囲から認められるまでに、意識していたことはありますか?

  自分を信じることですね。ゆるぎない意思を持って臨んでいないと、人の心はゆらいでしまいます。だから意思をしっかり持って、時代の流れをつかんで先を考えれば、自分の行動指針は見えてくるものです。目標を達成するために、それに向かって行動すれば、いずれ叶います。

願望を叶えるために、アルバイトを通して考えていたこと

―学生時代はどのようなことに注力されていましたか?

  塾講師のアルバイトに力を注いでいましたね。社員の方と一緒に、学生にもかかわらず本来なら社員にしかなれない塾長のポジションもいただいていました。その際に小さいながらも塾を運営するということを経験し、そのおもしろさに気づき、経営の基礎をそこで学びました。自分の願望を叶えるために、どうすれば達成できるのかを常に考えていましたね。

―アルバイトの経験は今に活きていますか?

  塾講師のアルバイトは全国成績が100教室中3番くらいの営業成績を出していたので、卒業後はフランチャイズで塾を3校ほど開校しよう、と考えていました。

  塾の本部長から「就職活動をちゃんと行ったうえで、そこでうちを選んでもらったらさらに嬉しい」と言われて、大学4年生の5月くらいから就職活動をし始めたんです。1か月半後くらいに大倉工業から内定をいただいたので、塾には就職しませんでしたが……(笑)。願望を叶えるために“考える習慣”がついたのは、アルバイトの経験が活きていますね。

状態を変革し、新しい価値を生み出したい

肉屋 格之進Fにて

―千葉さんが今後目指すことは何ですか?

  “飲食”の社会的地位をもっとしっかり確立したいですね。食は人が生きるうえでの源となるものであり、世の中を支えるものです。

  私には、事業をやっていくなかでの明確なポリシーがあります。それは、“変態”になることです。“変態”とは、“状態を変革し、新しい価値を生み出す創造者である”ということ。だから、私は“変態”でありたい。現状に満足せず、常にチャレンジしていきたいんです。

―最後に、若い世代に向けてメッセージをお願いします。

  自分の可能性を信じてほしいですね。強く思うだけで自分の理想に近づけます。思うことで、まず自分の軸ができます。軸を大切にしながら進んでほしい。

  そして、自分がどう思うか、ではなく、自分が思っていることが、どのように“伝わってしまっているか”を考えてほしい。これは私が日ごろから意識しているのですが、伝えたこと、ではなく“伝わってしまった”ことを考える客観性を持つことが必要だということです。
  自分の理想に近づけない理由は、そこにあるのではないでしょうか。
  自分が思っていることが、相手にどう伝わっているかを考え続けること。

  経験上、自分が信じて進んできたことが、思い通りに行かない時は、相手に“うまく伝わっていない”ことが多いですね。そこから理解や方向性にズレが生じて、スムーズに事が運ばなくなります。でも、それに気づいたら、自分の伝え方を変えればいい。

  他人と過去は変えられません。でも、自分と未来は変えられます。皆さんも自分の可能性を信じて進化し続け、目標を達成させてください!

六本木一丁目店 肉屋 格之進F <株式会社門崎>
本社
〒029-0202 岩手県一関市川崎町薄衣字法道地21-16
JR大船渡線 陸中門崎駅より車で約10分

<肉屋 格之進F(取材場所)>
〒106-0032 東京都港区六本木1-4-5 アークヒルズサウスタワー B1F
東京メトロ南北線 六本木一丁目駅直結

[取材・執筆・構成]yukiko(色彩総合プロデュース「スタイル プロモーション」代表)
[撮影(インタビュー写真)・編集] 真田明日美

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