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狙うは世界のC2C市場
―メルカリの大いなる挑戦―

株式会社メルカリ 山田進太郎

スマートフォン向けフリマアプリ「メルカリ」の企画、開発、運営を行う株式会社メルカリの代表を務める山田氏。「映画生活」「まちつく」「フォト蔵」などのヒットコンテンツを生み出した山田氏がC2Cアプリの制作に挑んだその真意とは?アメリカ市場を視野にいれたメルカリの展望を一挙大公開!

山田 進太郎
株式会社メルカリ 代表取締役

1977年生まれ、愛知県出身。早稲田大学在学時にインターンとして楽天株式会社での新規コンテンツ「楽天オークション」の立ち上げに参加。卒業後はフリーでインターネットビジネスの仕事を請けながら経験を積み、2004年に単身渡米。2005年に帰国し株式会社ウノウを設立。2010年にウノウをZyngaに売却、2012年Zynga Japan退社。2013年2月に株式会社メルカリを創業し現在に至る。

メルカリ現在の事業について

メルカリのサービス画像

―メルカリの行っている事業について教えて下さい―

現在、メルカリではスマートフォン向けのフリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運営を行っています。スマートフォンのカメラを使って2~3分程度で簡単に出品ができるシステムです。さらに、購入したい商品を見つけたらすぐに購入できるのも魅力の1つです。基本的にはオークションのような個人間取引にはなりますが、購入する側から見ると、クレジットカードやコンビニ決済などの決済機能を備えており通販サイトと遜色ないシステムなのでとても手軽に買い物ができます。また、メルカリでは購入者が商品を受け取り、お互いが評価を終えた後に出品者へ支払いが行われるのも評価が高いポイントです。基本的にトラブルが起こりにくい仕組みになっています。App Store BEST of 2013「今年のアプリ/ショッピングの新しいかたち」やGoogle Play Best of 2013「ベストショッピングアプリ」といった賞を受賞しており、新しい形のショッピングアプリとして話題を集めています。

学生時代の仕事について

―学生時代は仕事についてどのように考えていましたか?―

10代の頃は家庭教師のアルバイトをしていました、その後はコンビニのアルバイトも経験しました。しかし、当時は社会の仕組みをちゃんと理解できておらず、時給重視で決めていました。仕事はお金を稼ぐ手段でしかなかったからです。そんな自分の仕事観が大きく変わったきっかけが大学3年生の時に行ったインターンでした。みんなの就職というサービスを作った伊藤将雄さんから紹介を受け、夏休みを使って株式会社日経BP社でインターンとして働き始めたのです。すると、お金を稼ぐ手段でしかなかった仕事への意識は180度変わりました。インターンでは現「ITpro」と言う新しいサイトの立ち上げに関わっていたこともあり、本当に何もない状態から事業を立ち上げていくのを見ることができました。日経BP各媒体から記事を集め、足りない分は自分達で作成をする。さらに、マイクロソフトやインテルなどに広告を出稿してもらい収益を得る…与えられた仕事をこなしていればよかったアルバイトとは全く違い、何もかもが新鮮でした。「そうか、ビジネスってこうやって作られていくんだな」そう身を持って学ぶことができたのです。

―その後、創業間もない楽天から内定をいただきインターンとして業務に携わったと聞きましたが―

そうですね。以前からインターネットビジネスをやりたいという想いは持っていましたが、当時入りたいと思っていた株式会社オン・ザ・エッヂ(ライブドアの前身)では文系の学生を対象にした採用試験は行っておらず、試験を受けることすらできなかったのです。どうしようかなぁ…と悩んでいた大学4年の頃、日経BPでのインターンを紹介していただいた伊藤将雄さんに今後について相談をしました。すると、ある会社を紹介されました、それが現在の楽天です。当時の社員数は20人くらい、まだまだ駆け出しのベンチャー企業で、楽天というサービス自体も世間の認知度は低い状態でした。しかし、三木谷社長の上昇意欲溢れる考え方に大変惹かれたのを覚えています。既にインターネットのサイトとしてはYahoo!JAPANが圧倒的な知名度を誇っていましたが、三木谷社長曰く「楽天に来る人は何かを買いにきている。だから、楽天の1PVとYahoo!JAPANの1PVは価値が違うんだ!」と、言っていたのがとても印象的でした。「なるほど」と思ったのと同時に「この会社すごく面白い!」そう思ったのです。そして、その場で内定をいただき翌日には内定者インターンという形ですぐに仕事を始めました。当時は就職先にベンチャー企業を選ぶ学生はほとんどいなかったので、「何でそんな小さな会社へいくんだ?」と、大学の友人が一様に首をかしげていたことを今でも覚えています。「新しいサービスを作りたい」そんな想いを持っていた私が配属されたのは、楽天オークションの立ち上げです。当時は個人間取引は世間では全く浸透していませんでしたし、ましてやインターネットを通じて個人間で売買を行うなんて想像もできませんでした。しかし、アメリカでは既にeBayでネットオークションがブームとなっていたので、それならば日本でもという感じで楽天内の新規事業としてリリースされました。結果としては、楽天オークションの10日後に開設したYahoo!のオークションサイト「ヤフオク」に大きく溝を開けられてしまいました。苦い思い出ですね。

「就職」でなく「起業」を選んだ人生の転機

オフィスで腕を組みかっこよく映る山田社長

―しかし、結局楽天には就職しなかったと聞きましたが、どうしてですか?―

半年間楽天でインターンとして仕事をさせていただきましたが、そこから導き出した結論は「僕自身の力で1から作ってみよう!」という自ら道を切り開いてゆく生き方でした。会社という組織に属して働く内に「もっと自分の思うように業務をしたい!」と言う想いは募っていきました。「じゃあ、就職という道は僕の理想とは違うんじゃないか…?」そう思いまして、内定を辞退しフリーで仕事を始めました。その後、約4年間は起業というよりは、フリーで様々な仕事を請けていました。主にインターネット・サービスの構築を僕が請け負ってきて、エンジニアの方や他のフリーランスの方と一緒に仕事をするスタイルです。2000年代初めはまだまだインターネット黎明期だったこともあり、仕事は無限にありました。そのため、面白い仕事を数多く経験することができましたね。

あれもこれも全部やりたい!-興味の赴くまま1年間の渡米

―しかし、2004年に突如渡米をされますが、これはどのような意図があったのですか?―

フリーでの仕事はとても楽しかったのですが、当時は他にもやりたい仕事がありましたし、ライフスタイルそのものについても変えたいと思っていました。1つは、アメリカに住んで英語を話せるようになりたかったこと。2つ目は、シリコンバレーでインターネットビジネスを行うこと。3つ目は、インターネットとは全く関係のないビジネス、例えばレストランや不動産などもおもしろそうと思っていたこと…大きく分けるとこの3つでした。大学を卒業後フリーで仕事をしてきたのも、これらの想いを捨てきれなかったことが原因です。無責任に社員を雇うのはよくないので。しかし、やりたいと思っていることをそのまま放置すれば、未知の世界への憧れがずっと残ってしまうと思いました。そこで、「とりあえず全部やってみよう!」と、動き始めたのです。アメリカに1年間住みましたし、シリコンバレーでのインターネットビジネスについてもアメリカで生活をしながらスタートさせましたし、アメリカはご飯があまり合わなかったので、「だったら、自分で開業しよう!」と思い、現地で飲食店を経営していた日本人と一緒に飲食店開業に向けて物件探しもしていました。3つともかなり具体的に動きました。

―そうしてアメリカで得た物は何だったのでしょうか?―

「自分はインターネットビジネスがすごく好きなんだな」ということに気が付くことができました。それを知ることができたのは大きかったですね。長年「やりたい!」と思っていた3つのことを実際に経験したことで、自分が本当にやりたいことの本質が見えました。まず1つ目の、アメリカに住みたかったという望みは、住むことが目的だったのではなく、英語を習得して世界で勝負したいということだったと分かりました。そして2つ目のシリコンバレーでのインターネットビジネスは、シリコンバレーにこだわる必要はないと感じたのです。アメリカでも日本でも、いいサービスやコンテンツを作ることはできる、それがインターネットの魅力だと再確認することができました。そして、最も決定的だったのが3つ目の他業種での仕事です。レストランを開業しようと動き始めた頃、ある時「レストランはどんなに客入りがよくてもひと月に数千人しかサービスを提供できないんだな…」と気づきました。当時僕が運営していた「映画生活」というサイトは、月間にして100万人の訪問者がいたので、それと比較をするととても少ない人数に思えたのです。「1回使ったことがある…程度でもいいから、より多くの人に使ってもらえるサービスを作りたい!」と、強く思いました。他の仕事や興味のあったことを全てやってみたからこそ、本当に自分がやりたいことが目に見えるようになったのでしょう。「元々やっていたことが自分のやりたいことだったなんてラッキーだな」という結論にいたり、アメリカを後にしました。

メガヒットコンテンツ「まちつく!」ができるまで

―帰国後ウノウを起ち上げ、話題のコンテンツを次々と作られた山田社長ですが、当時の秘話等がありましたら教えて下さい。―

そうですね、2005年にウノウを設立しましたが、なかなかホームランが出なくて、実は3年弱ずっと試行錯誤を繰り返していました。写真共有サイト「フォト蔵」や映画情報サイト「映画生活」など、話題を呼んだサービスもありますが、ホームラン級のメガヒットとまではいきませんでした。アイディアだけで言えば毎日考えてはいるのですが、その中の1つにあったのが、モバイル×コンテンツのサービスです。日本から世界に出て成功した物の中には漫画やアニメといったコンテンツ系が多かったので、日本人はコンテンツ作りに向いているんじゃないかと着想し、そこからモバイルゲームの開発を始めました。その中で生まれたのがソーシャルゲーム「まちつく!」です。当時はソーシャルゲームという言葉がまだなかったので、コンテンツを通じて友達とやり取りができる無料のサービスを考えたのですが、これが当たりました。2009年11月にはmixiアプリで「まちつく!mixi版」のサービスを開始し、会員数は500万人を越えました。月商1億円を超える月もあったほどです。その後、アメリカのソーシャルゲーム大手のZyngaからウノウ買収の話をいただきまして、2010年の夏に売却をしました。

今後の事業展開について

メルカリ出品中の商品画像

―メルカリを設立して約1年ですが、今後目指すべき展開を教えて下さい。―

どうしてウノウの売却を決めたのかと言うと、「世界で勝負がしたかったから」という、この一言に尽きるんです。当時世界に2億人以上のユーザーを抱えていたZyngaならば、自分でアメリカ市場に進出するよりも早く自分のサービスを世界に提供できると思いました。そんな、「アメリカ市場を狙っていきたい!」という想いは今でも変わっていません。その後ウノウがZynga Japanになり人生初のサラリーマンを経験しました。Zyngaというシリコンバレーでもっとも勢いのある会社の一つの巨大な組織の中での仕事は得るものが大きかったですし、会社に雇われている立場であっても、自分の力を出すことができたのは自信にも繋がりました。しかし、組織の中だと自分がなんとなく感覚的にうまくいきそうだからこうしたい、ということができなくて、どうしてもファクトを集めて説得しなければなりません。そうしてチャンスを逃してしまったなと思うことが何度かあって、すごいサービスを作りたければ自分の感覚を信じて自分の責任でやるべきだと思い2012年にZynga Japanを退社しました。すぐに新たな会社起ち上げに向けて動いてもよかったのですが、一度始めてしまうと長期での休暇は取りにくいので「行きたいところを全て回ってから次のスタートを切ろう!」と思ったら結局世界一周旅行になっていました。帰国をしたのは2012年の10月です。そこから、新しいサービスについて考え始めました。それから、5~6個のアイディアをピックアップして精査して、その中で最も世界で勝負ができるサービスだと思ったのが、C2C(一般消費者と一般消費者の間の取引)のアプリだったのです。そこからラテン語で「商う」という意味を持つ“mercari”という単語を名前につけました。創業から半年くらいでアプリをリリースし、リリースしてから半年と少し経ちましたが国内では順調に会員数を伸ばしていますし、多くの一般ユーザーから高い評価をいただいています。「誰でも使えるサービスにしたい」と、ユーザー目線で開発を進め、サービスを展開してきたことが功を奏したのだと感じています。次に狙うはやはりアメリカ市場です。ローカルなサービスで終わらせないためにも、英語でのサービス展開は急務だと感じています。アメリカにはC2Cアプリで覇権を握る企業がまだないので、「今ならいける!」と、社員一同息巻いているところです。その第一歩として、アメリカに子会社を設立しました。米Rock Youの創業者だった石塚(メルカリ取締役)がシリコンバレーに赴任し、現在マーケティングやサポート体制を整えているところです。サービスについては現地でも概ね良いフィードバックをいただいていますので、早期にアプリをリリースできるよう尽力していきたいと思っています。人材についても石塚の人脈を通じてAクラスやSクラスといった優秀な人へコンタクトできていると思います。

今後の採用について

―今後さらに成長するために欲しいのはどういう社員ですか?―

現在の社員数は40人弱です。当社サービスは、開発が15人、カスタマーサポートが15人、その他が10人という割合です。C2Cの個人間取引とは言っても、大多数の取引は何の問題もなくスムーズに終わります。しかし、母体が大きくなれば当然多少のトラブルも起きてきます。「商品を送ってこない」「偽物が届いた」など、各種のトラブルに合わせて応対を行うカスタマーサポートの仕事量が増えています。あとは、やはりエンジニア等の開発側も補強していくと思います。世界的に成功したGoogleやFacebookといったサービスも決して目新しいものではありませんでした。Googleは「最初の検索エンジン」でもなければFacebookも「最初のソーシャルネットワークサービス」でもありません。サービスが安定して運用されていたということ、そして簡単に誰でも楽しく使えるということが今後は必須になってくるでしょう。そうしたUI(ユーザーインターフェース)を意識して誰にでも使いやすいサービスを意識した設計ができる人は欲しいと思っています。後は、これからアメリカや世界の市場に挑戦していく予定なので、その理念に賛同してくれる人が望ましいですね。

[取材/執筆/編集] 高橋秀明、白井美紗

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